人名・団体名・事項一覧:な



中田医院【施設名】なかだいいん

バレエ星69S2-XI:37


なでしこ【人名】なでしこ

まりもの星72S1-I:1【フルネーム】野原なでしこ【所属】三井バレエ団→大森バレエ団→ききょうバレエ研究所

『まりもの星』の主人公。
ごく小さい頃から母と離れ、北海道の祖父母のもとで妹のれんげとともに育てられる。両親についての記憶はないが、ある日行方不明となっていた母がテレビ番組に現れてから、秘められていた母への想いとバレエへの夢が息を吹き返し、単身東京に上京する事となる。東京では母とのすれ違いが続き、“別の少女の母親”として接しなければならないなどの辛さを体験するが、故郷の伝説に基づく創作バレエ『まりもの星』を母と共演する事によって、長かった過去の母娘関係の空白を取り戻す。

専らロングヘアの〈『星』シリーズ 〉ヒロインの中で、唯一のショートボブという異色。広大な北の大地に育まれたであろう、地に足のついた堅実さと、バレエに対する揺るぎない信念、不正に対する率直な憤りなど、心身ともに健全さを印象付ける一面は、多くの読者の親しみを呼ぶポイントではないだろうか。作中通して幼いままのれんげに対しても、年長者としての振る舞いを見せる場面が多い。

母を巡ってりつ子と対立する物語終盤のエピソードは、“都会の少女”でありながら都市生活に必要な視覚を失い、嗅覚や触覚など他の感性を頼りに生きるりつ子と、伝説と禁忌の感覚的世界である北海道の山村で育ちながらも、“都市文化”であるバレエを身につけたなでしこという、一見異なるようで本質的に似た立ち位置の二人が、それぞれの“母”への向き合い方を共通の伝説のもとに認め合い、“心の姉妹”として結ばれる点に、物語本編のテーマへの鍵があるといえるだろう。

なでしこの祖父【人名】なでしこのそふ

まりもの星72S1-I:9

北海道の山奥の湖畔の村で、老妻と失踪した娘の残した孫娘姉妹の四人で暮らしている。紐蔓の眼鏡に和服、七福神然とした福々しい容貌は、隠棲した老賢者の風格を持っている。また、村人の迷信に振り回されない側面や、孫娘のバレエ教育に熱心であったり、なでしこやれんげに時代の流行に合ったファッションを身につけさせているなど、その都会的センスはただの田舎の老人のものではないようである。

引退前は学者であったり、あるいは若い頃は優れた舞踏家として東京(戦前であれば帝都)で活躍した人物で、なでしこの幼少時のバレエマスターは実はこの祖父ではないかーーなどと管理人は想像している。

なでしこの祖母【人名】なでしこのそぼ

まりもの星72S1-I:9

時代と社会の変化に明るい様子の連れ合いと比べて“田舎のお婆ちゃん”度が強め。[72S2-VII:13~14]のへび岩の場面で、なでしこが枕にしている松の木を“龍神様”と見て畏れたところ(そして、連れ合いに「松の木だ」と指摘されて初めて気づく)から、もともと北海道のこの土地の出身の人で、祖父は引退後に妻の郷里で暮らすようになったのではないだろうか、と思われる。

なでしこの父【人名】なでしこのちち

まりもの星72S1-II:1

大学の先生。外国から帰る時に乗っていた船が遭難して、以後生死も不明のまま行方がわからない。
「海外で遭難する学者の父」という設定は、66年版『かあさん星』 (*1)を継承するものでもあるだろう。また、なでしこの名付けに父の想いが籠められている事が記されている[72S1-I:2]点は、作中人物の心の中でこの父の存在が完全に消えていない事を示唆している。それゆえ母も祖父も、生きて帰ってくる事を信じ続けている。

物語には登場しないものの、明確なポートレートが描かれている点は、とかく存在感の希薄になりがちな〈『星』シリーズ 〉父親群像の中にあっては貴重ともいえる。


  • 最終更新:2019-08-09 01:49:35

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