71S4-XII (小四・十二月号)

バレエ星
掲載 「小学四年生」昭和46年十二月号
頁数 扉+14p.
総コマ数 26
舞台 花田バレエ団/パリ
時期 1971年秋~冬
梗概 あざみさんバレエ復帰/『バレエ星』パリ公演
扉絵 [71S3-II : 57]の流用・改変

『バレエ星』で再びパリの舞台に立つかすみ

前号までのお話 [1]

「春野かすみは、おかあさんの書きのこした『バレエ星』の本の完成と、春野バレエ団のさい建をめざして」

いつの間にか「春野バレエ団再建」がかすみの目標(のひとつ)とされている

「花田バレエ団のあとつぎであるあざみは、かすみにつきおとされておどれなくなったと思い込み、うらんでいましたが、自分の不注意であったことがわかりました」

その部分は確かにその通りではあるが、それに付随した風評被害や嫌がらせの実害の方が深刻だったはず。

あざみさんのバレエ復帰 [2~20]

[4,9] 目配せし合うかすみとバーバラ

あざみさんのために打つ一芝居だが、これまでこの二人が散々な目に遭わされて来たあざみさんに対するささやかな復讐にも見える。

…もちろんそう見えるだけではあるが。

『バレエ星』パリ初演 [17~26]

物語の流れとしては、この年(1971)を越えない冬までに公演が行われていると考えられ、12月下旬のクリスマス時期とすればスケジュール的にもそこそこ無理がないのではないだろうか。

[17~19] アリア先生からの電報:『バレエ星』フランス初演の依頼

この公演依頼に至るまでには、公演を主催するパリ・バレエ団=アリア先生の側でも、台本原作者のかすみの側でも、かなり前からの折衝と準備が必要なはずである。かすみの帰国後、花田先生が紛失したと思われた台本の所在確認の問い合わせをした時点から、アリア先生は心の裡でかすみの新作バレエ構想に興味を抱き始めたのだろう。そして、その後この日に至るまで、花田先生には知らされていない水面下の様々な連絡と作業が行われていたと思われる。 (*1)
このプロジェクトで花田先生が完全な蚊帳の外になっている点、いろいろまたややこしい事が起こりそうな気もしないではないが、ここで送られた電報を花田先生への正式依頼(かすみとバーバラの出演)と考えれば、アリア先生とかすみはその辺りの筋を通して、賢く対処したものともいえる。特に、花田バレエ団所属ダンサーであるバーバラの起用は、先生の顔を立てるための措置のひとつとも考えられる。
[19]では電報の内容にかすみは驚いている様子だが、上記の経緯を踏まえた場合、具体的な公演が想像していたよりも早く (*2)実現した事によるものであろうか。

[20] かすみを祝福するあざみさん

当初より『バレエ星』はかすみ個人の事業であるが、その活動を全面的に応援する意志を表明する意味での「わたしの分も」と捉えるべきだろう。
美しい友情のシーンに水を差すわけではないが、「がっばってね」は「がんばってね」の誤植。

[21] 「かすみとバーバラが、フランスについて一か月後、いよいよ『バレエ星』が公えんされることになりました』

現地での準備期間が1ヶ月として、上記の推測に従えば二人の渡仏は11月下旬となるだろう。かすみのスカーフの巻き方が古風。

[22~23] 『バレエ星』公演会場

もちろん架空の劇場だが、描かれたファサードや客席のイメージはオペラ座(ガルニエ)を思わせる。それなりの格式のある会場が選ばれたのだろう。

[24~25] 『バレエ星』舞台

見開きゴマによる2場面。[24]が第1幕、[25]が第2幕のイメージか。

  • [24] 星の精のティアラの星の数で、階級(主役と群舞の区別)が明確に描かれているようである。
  • [25] 虫の音楽隊は、蝶の羽を背にした象徴的な昆虫の妖精のイメージで統一されているようで、衣装は軍楽隊。
    前景に描かれるかすみのコスチュームは、地上に降りた星の精が花に姿を変える意匠を意味するものだろうか。

バレエ作品としての『バレエ星』の内容についての考察は、各論『バレエ三部作『バレエ星』詮索』を参照。

[26] 『バレエ星』カーテンコール

本作最後のシーン。ここで注目すべきは画面左上に描かれるアーちゃんの姿だろう。作中ではベタ髪で短いポニーに結び終始活動的な印象だったが、この最終場面に至って白ヌキの短いツインになる。姉のパリ公演に同行するためにイメージチェンジを考えて髪を伸ばしたのだろうか。 (*3)

F2-Kasumi.png


  • 最終更新:2019-11-15 08:39:00

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