72S3-IX (小三・九月号)

かあさん星
掲載 「小学三年生」昭和47年九月号
頁数 扉+12p.
総コマ数 41
舞台 前回の続き/すみれの自宅
時期 前回の続き〜夏休み明け頃
梗概 海岸で溺れたターちゃんを助けたのは、宿舎の厨房で働いていた母だった。すみれは家に戻るよう説得する。「思い出せなくてもいいの、ママにかわりはないんだから!」すみれの切なる願いに、母はすみれたちとの生活を再開する。しかし、記憶の戻らない母にとっては「自分は本当にあの子たちの母親なのだろうか…このまま一緒に暮らしていたらどうなるのだろう」という不安を抱きながらの毎日でもあった。ターちゃんは母が帰って来た事で大喜びだが、自分の具合が良くなったら再びいなくなってしまうのではないかと考え、病気のふりをし続ける。ある日、すみれは母にバレエを踊る事を勧めてみる。「足が悪くて片足では立てない」と言いつつも、無意識にバレエの姿勢を取る母。そこに小川先生が様子をうかがいに現れるが、彼女を見た瞬間、母は過去の事故を思い出したらしく、怯えるようにしてその場をから姿を消した。そして、そのまま、母は夜になっても戻ってこなかった…
扉絵 単色/「谷ゆきこ」/「★かなしいバレエまんが★」

呼び起こされた心の傷跡

これまでのお話 [1~3]


海岸の出来事ーすみれは母を説得する [4~11]

[5] 「ああ、いつか、島の学校で会った…」

[6] 「ごめんなさい。わたし、行かなければならない所があるの」

決まった目的地の事ではなく、「行くべきところは少なくともあなたの住む家ではない」という含意か。

[7] 「どうして、どうしてわたしたちをおいて行ってしまうの」

[8] 「思い出せないの。どうしてもあなた方が、わたしの子どもだということが…」

[9] 「思い出せなくてもいいの。ママにかわりはないんだから。帰って。おねがい、もうどこにも行かないで」

思い出のない家の母 [12~24]

[12] 母は東京の二篠家にとりあえず戻る

すみれたちは林間学校を早めに切り上げて帰宅したのか、終わるまで宿泊施設で過ごしたのかは不明。
ターちゃんが溺れて一週間は寝込んでいるので、母はその付き添いをしていたと思われる。




学校関係の周囲の大人たちの謎     

ところで、これは運動会の場面でも考えられねばならないことだが、臨海学校にはすみれの通う学校の先生が同行しており、すみれの保護者である二篠良子を見てその人と確認できないはずはない。母の一時的帰宅には、そうした周囲の先生方の説得などもあったのではないだろうか。

[17] 「あれから一週間もたつのに、まだおきられないのね」

[18] 「わたしは、ほんとうに、あの子たちの母親なのかしら…」

自分が何者かわからず、与り知らぬところで何者かにされているかもしれない不安と恐怖が、「このまま、いっしょにくらしていたら、どうなるのかしら…」と呟かせる。


[24~25] この間にある程度の時間経過が想定される
その後の展開と季節感の描写から、臨海学校以降、母が二篠家に戻ってから相当期間の日数が経過していると見られる。[25]の時点では、[24]と同じ服装ではあるが、既に9月に入っているのではないか。

小川先生の来訪と母の失踪 [25~41]

[26] 「ねえ、ママ、お庭でおどりましょう」「だって、ママ、バレエなんておどれないのよ」

記憶の回復はまだのようだが、少なくともすみれたちの「ママ」という呼びかけには、少しずつ違和感が薄らいできている様子が窺える。

[28] 「そんなこといったって、ママは足が悪くて、かた足では立てないわ」

[34] 小川先生の来訪

すでにすみれからは二篠家に母が戻ってきた事を知らされていて様子を見に訪れたのだろう。過去の経緯もあり、直接会うのをためらううちにこの日の来訪になったものと思われる。
このコマ以後、先生の髪が白ヌキから墨ベタに変わる。

[36] 小川先生を見て驚く母

突き落とされた過去と、バレエの事を思い出す。


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  • 最終更新:2019-03-31 01:00:38

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