74S3-II (小三・二月号)

まりもの星
掲載 「小学三年生」昭和49年二月号
頁数 扉+12p.
総コマ数 39
舞台 東京・りつ子の家/林研究所
時期 前回の続き
梗概 姿を見せた盲目の少女・りつ子は、母が北海道の湖に浮かんでいるところを助け、自分のママになってもらった、と語る。なでしこは「母を返して」と迫るが、りつ子は自分の余命が少ない事を理由に、現在の状態を黙認してほしいと懇願する。「私にはバレエがあるわ」…なでしこは、病気のりつ子のためにしばらく母の事は忘れようと心に決める。林先生の研究所を訪れると、そこにはあのかな子の母が先回りしていた。「うちでは、あなたを教えるわけにはいかないの」…決まり悪そうに、林先生はなでしこに告げるのだった。
扉絵 単色/「谷幸子」/「★かなしいバレエまんが」

「わたしには、バレエがあるわ」…

これまでのお話 [1]


りつ子を慮り、一時的に身を引くなでしこ [2~34]

[6] 「おかあさんは、どうして、りつ子さんのママになってしまったんですか」

なでしこの台詞中「おかあさん」「ママ」の微妙な使い分け。[12]のりつ子の台詞も同様。

[7] りつ子が母を助けた経緯

「村の人をよんで、たすけあげ」た、とあるが、何故村の人はその浮かんでいた女性が野原家の人と気づかなかったのか。
この「ばあやさん」の証言を信じるとするならば、母を救出した“村の人”は、東京からの来訪者であるりつ子の投宿する宿(ホテル)の職員ではないか。村のコミュニティとの関わりのない居住者とすれば、母がこの村の人間であるかどうか判断できず、村役場などへの確認などを省いてしまう可能性もある。札幌オリンピック以後、この山奥の村にも観光化の波が押し寄せつつあるのかもしれない。

[14] 「三歳の時に失明」「八歳の時に母死去」

「三さいの時失明した」りつ子が母の顔を憶えていないという点は、なでしこが物語序盤で「母の顔を知らない」と語る部分に呼応する。

[17] 「おかあさん」「ママ」

この人こそ、まりもがさずけてくださったおかあさんだと思ったの。
わたしは、ママとよんであまえられる人がほしいの。

一般名詞としての「おかあさん」と、りつ子個別の「ママ」の使い分け。

[34] 「わたしには、バレエがあるわ」

〈『星』シリーズ 〉のヒロインの中には、抱え込む困難の中で心を波立たせ、バレエの道にも疑念を抱く者があるが、なでしこのバレエへの思いは揺るぐ事なく彼女を支える。母と対峙した「すずらんおか」での特訓から、バレエはなでしこと母の絆を保証する芯として成長している。

なでしこの受け入れを拒否する林先生 [35~39]

[39] 「うちでは、あなたを教えるわけにはいかないの」

多額の寄付金で釣られたのだろうか(あるいは恫喝か)。「りっぱな方」と言う林先生の評判にも但書きが付きそうである。
先回りして林先生に裏工作するかな子母だが、なでしこが上京した翌日に林バレエ研究所を訪れるという情報を、どのようにして知り得たのか。後に大森先生のもとから、かな子母の新設バレエ教室に指導者や生徒が大量に引き抜かれる一段があり、その中のかな子とその母のシンパ(先生あるいは生徒)が情報をリークしたものと思われる。

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  • 最終更新:2019-04-01 07:43:27

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